BIM/CAD連携機能を強化したLumiceptの新バージョン、バージョン10.81をリリース致しました。Lumiceptのバージョン10.81では、BIM/CADツールとの連携機能や、より現実に近いシミュレーション結果を得るためのマテリアル・ライブラリーが強化されています。
特筆すべきは、GRAPHISOFT ARCHICADで作成された建築データを変換し、Lumiceptによる照明シミュレーションに必要なデータを自動的に生成する機能「OmniPort/AC(オムニポート/AC)」。同様の機能をAutodesk Revitで実現する既に提供済みのOmniPort/RVと併せ、Lumiceptは二大BIMツールとの高度な連携機能を提供します。
OmniPort/ACによる変換は形状だけでなくマテリアルや光源についても行われるため、従来は利用者がLumicept上で改めて行う必要があった様々な設定作業を大幅に削減でき、照明シミュレーションをより迅速かつ効率的に行う事が可能となります。
その他のBIM/CADツールとの連携機能として、米Robert McNeel & Associates社製Rhinoceros 3Dのネイティブ・ファイルの読み込み機能の追加が追加されます。また、本格的な照明シミュレーションの実施には不可欠な、実物の測定結果に基づいて作成された多数の材質がマテリアル・ライブラリーに追加されます。
Lumiceptバージョン10.81で追加される主要な機能の概要
1. GRAPHISOFT ARCHICAD用データからLumicept用データへの変換機能
GRAPHISOFT ARCHICADで作成したBIMデータを用いて照明シミュレーションを実施する場合、従来はIFC等の標準的なデータ交換用ファイル形式にてデータを書き出し、それをLumiceptに読み込む形で行っていました。しかしながら、これらのファイル形式ではARCHICAD上で設定されたマテリアルや光源等の照明シミュレーションに必要となる情報が充分に記述されないため、Lumiceptへの取り込みは形状に限定されていました。このため、ユーザーはこれらのファイルを読み込んだ後、マテリアルや光源等の設定を改めてLumicept上において行う必要がありました。
今回提供しますOmniPort/ACにより、ARCHICAD上で設定されたマテリアルや光源等の情報を、Lumiceptでの照明シミュレーションに適した形に自動的に変換する事が可能になります。形状についても、これまでのように中間ファイルを介する事無くダイレクトに変換されるため、より正確かつ高精度に行われます。これらにより、従来と比較してユーザーがLumicept上において行う作業は大幅に削減され、照明の検討までを含めた設計サイクルをより一層早める事ができるようになります。
![]() ARCHICAD上の元データ |
![]() 変換により作成されたLumicept用のデータ |
![]() Lumiceptによる照明シミュレーション結果 |
OmniPort/ACはARCHICAD用プラグインとして提供され、ユーザーはそのプラグインを用いてLumiceptが直接読み込めるファイル(ネイティブ・ファイル)を出力します。OmniPort/ACは、Lumiceptのユーザー向けに無償で提供されます。
2. Rhinoceros 3Dネイティブ形式のファイルの読み込み機能
Lumiceptのバージョン10.8より、新たに米Robert McNeel & Associates社製の3D CADソフトウェアRhinoceros 3D(Rhino 3D)のネイティブ・ファイル(3DMファイル)の読み込みがサポートされます。これにより、従来必要であったデータ交換用のファイル形式(STEPやOBJ等)を経由しての読み込みが不要となるため、Rhinoceros 3Dで作成した形状をより正確かつ高速にLumiceptに取り込む事が可能となります。この機能については、Lumiceptの標準機能として提供されます。
3. 実物の測定結果に基づき作成された多数の材質の追加
Lumiceptが提供するマテリアル・ライブラリーに、300を超える材質が新たに追加されます。追加される材質は、壁材や床、木材、金属等、その多くが建築で用いられるものとなります。これらの材質は、その全てが実在する材質から作られた試料を専用の測定装置で測定し、その光学特性を高精度にデジタル化したものとなっています。この測定では、複数の入射角と出射角の組み合わせについて、各波長毎に反射や透過の特性が測定されます。このため、これらの新たに追加された材質を用いることにより、シビアな照明シミュレーションに求められる現実に忠実な材質設定を、より簡単かつ迅速に行う事が可能となります。なお、新たに追加された材質を利用するには、Lumiceptのオプション機能である「SpectReal」が必要です。
Lumiceptバージョン10.81に関する詳しい情報につきましては、インストール・パッケージに含まれるリリース・ノートをご参照下さい。